肌寒くなり、「読書の秋」がやってきました。
今月読んだ内の4冊を紹介します。
・『平日』(文藝春秋) 石田千
平日の東京を巡る文章。様々な場所の様々な平日が描かれていますが、一番最後の「聖なる平日 バス観光」が良かったので、いつかあのバスに乗ってみたいと思いました。石田さんの文章の流れや書き方が素敵です。
・『ごはんぐるり』(文春文庫) 西加奈子
同じ関西人として分かるー!という話があったり、幼少期をエジプトで過ごした西さんならではの話があったり。ごはんにまつわる楽しいエッセイです。
・『うつくしい人』(幻冬舎文庫) 西加奈子
こちらは西さんの小説。悩み、不安を抱えて急に旅立った離島のホテルで主人公が出会った2人の男性。この2人との出会いによって心がゆっくりほどけていく主人公。自分で自分をがんじがらめにして苦しかった考えや思いが、だんだん変わっていく様子が良かったです。
・『彼女の存在、その破片』(小学館文庫) 野中柊
初めて読む野中柊さんの作品で、そのタイトルと網中いづるさんの美しい絵に惹かれて手に取りました。
失踪した恋人を探すため、その恋人と関係のあった人々を訪ね彼女がどういう人だったかというその破片を集めていきます。こちらはまだ読み途中ですが、「愛の謎と復活を描く長篇小説」ということで、ミステリーやサスペンスとは違うドキドキ感があります。
自分では思い描かない世界や感情を知ることができる本に毎回魅せられます。
風景や人物の容姿、声など、映画とは違い、想像するしかないというところが本の素敵なところだと思います。